日本エネルギー学会誌
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論文
2-step PSA導入したBio-H2製造プロセスに対するエクセルギー解析及び環境影響評価
近藤 頌大永石 平堂脇 清志
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2018 年 97 巻 4 号 p. 77-87

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抄録

近年,燃料電池の技術開発が進んでおり,その燃料となる水素需要は拡大を見せている。しかしながら,現在の水素のエネルギー源は化石燃料が一般的であるため,ライフサイクルアセスメント(LCA)の観点から考えると,水素からエネルギーを取り出したとしても,温室効果ガス排出に寄与してしまう。その代替として,再生可能エネルギーであるバイオマス由来の水素(Bio-H2)製造に着目し,その環境影響に関する研究を行ってきた。その結果,水素精製プロセス(圧力変動吸着法 PSA))が最も環境影響があることが判明し,その解決策の一つとして,2-step PSAを開発した。しかし,2-step PSAによるBio-H2製造プロセスのエネルギーの有効利用及び環境影響の検討はなされていない。 そこで,本研究では,2-stepPSAを利用したBio-H2製造プロセスのエネルギーの有効利用の及び環境影響について検討を行った。ここでは,ガス化及び水素精製実験データに基づきプロセス設計を行い,エクセルギー解析を用いプロセス評価を行った。それに加え,LCA分析を用い,プロセス全体の環境影響評価を行った。 その結果,2-step PSAケースの方が従来PSAケースより,エクセルギー効率が1.7ポイント向上し,従来PSAケースと比べ2-step PSAケースでは化石燃料の消費量が低減され,さらに地球温暖化に影響するCO2排出量に関しては大きく低減される結果となった。本研究で新しく提案したエネルギー有効利用及び環境影響を含む複合評価手法を用いることで,エネルギー変換プロセスにおいてよりエネルギーを有効利用でき環境影響も少ないプロセスの技術促進に繋がると考えられる。

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© 2018 一般社団法人 日本エネルギー学会
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