伐出作業において,目標とする改善を得るための妥当な投資程度を求める簡便な定式化を提案し,2つの事例に適用した。第1の事例では,林地残材運搬距離の関数として,経費および環境負荷すなわち二酸化炭素排出量とエネルギー消費との関係の定式化を試みた。一般に,運搬効率は規模と共に向上し,中間土場のような基盤整備の実施により小規模運搬から大規模運搬へのモード移行が達成される。この事例では,トラック4種類(積載量0.35,2,4,および10 t)を想定し,グラップルローダにより中間土場で積み換えを行うものとした。第2の事例では,広葉樹材伐出のための基盤整備,すなわち林内路網の開設に適用した。集材方法は直接集材,ウインチ集材,そして軽架線の3モードを,基盤整備は林内作業車用の道幅2.5 mの低規格作業道路網と,バケット容量0.45 m3の油圧ショベルベースマシン用の道幅3.0 mの高規格作業道路網の2種類を想定した。提案した定式化手法により,最適なモードあるいは作業システムを選択するための閾値を得ることが可能となった。