2019 年 98 巻 11 号 p. 292-298
石炭から発生する芳香族炭化水素の生成・分解挙動把握は,石炭ガス化炉内部の反応挙動を明らかにするために重要である。しかしながら,粒子との相互作用が無視できる気流層内での高圧下での分解挙動の報告は少ない。本研究では,高圧流通管式反応試験装置(高圧DTF)を用い,燃料比0.94~1.53の4種類の低燃料比炭に対して,圧力1.0 MPa,温度1000°Cの条件で滞留時間を0.5 ~1.5 sの範囲で変化させ,気流中の芳香族炭化水素の分解挙動データを取得した。1次反応モデルを用いた分解速度の評価の結果,より燃料比が低い石炭の初期熱分解では,環数が多い芳香族炭化水素が,より多く放出されていることが明らかになった。