日本エネルギー学会誌
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総説
直接液化による豪州ビクトリア褐炭の高度利用―改新BCLプロセスによる化学原料の生産―
大隈 修前 一廣林 順一
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2019 年 98 巻 2 号 p. 17-26

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抄録

豪州ビクトリア褐炭は,膨大な埋蔵量を有し採掘コストが安価な重要な資源である。しかし,ガス化や熱分解のような多くの先進技術が,褐炭をより価値ある製品に転換するために開発されたものの,依然炭田近傍で発電に使われるのみである。 1970年代の石油危機の後,BCL(褐炭液化)プロセスが,輸送用燃料を目的に開発されたが,褐炭液化燃料は石油と経済的に競合できなかったため,やはり商業化されていない。 褐炭(石炭)液化生成物は,多環芳香族,ヘテロ環状化合物,ピッチを含み,これらは化学・タール工業で化成品(ケミカルズ)として,またコークスバインダー,炭素材料の原料として使える可能性がある。原料として使用できれば,液化生成物の価値が上がり,プラント規模を小さく,液化条件を緩和できる。原料として使うには,原料としての特性に合わせて,液化条件を制御して,留出油からピッチにいたる液化生成物分布を変えなければならない。 これは,BCLプロセスを変更(改新)し,液化生成物分布を変え,液化油のコストを減少させることを意味する。その結果,改新BCLプロセスが,効率的でノーブルな褐炭の利用技術となることができる。

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© 2019 一般社団法人 日本エネルギー学会
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