日本エネルギー学会誌
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論文
Ca(OH)2を用いた模擬石炭ブリケット燃焼時の脱硫・脱フッ素反応間の影響
劉 丹 栗山 明子
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2019 年 98 巻 4 号 p. 44-51

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抄録

中国では,石炭燃焼によるSO2とHFの放出は深刻な室内空気汚染問題を引き起こしている。Ca(OH)2と石炭粉末を混合して作製した石炭ブリケットを用いた燃焼は,SO2とHFの放出を抑制することができる。しかし,Ca(OH)2を混合した石炭ブリケットを燃焼する際,Ca(OH)2の熱分解で生じたCaOによる脱硫反応と脱フッ素反応が同時に進行すると考えられる。本研究はCa(OH)2を混合した石炭ブリケットを燃焼した際の脱硫反応と脱フッ素反応間の互いへの影響を明らかにすることを目的とする。そのため,本研究では炭素質グラファイト粉末(グラファイト粉末),フッ素を含む白雲母,硫黄を含むFeS2を用いて,模擬石炭ブリケット(ブリケット)を作製した。また,Ca(OH)2を脱硫剤と脱フッ素剤として利用し,ブリケットを燃焼する際の脱硫と脱フッ素効果について検討した。本研究によって,ブリケット燃焼時のHF生成が一次反応であることがわかった。また,実験結果はブリケット中の硫黄の存在によってHFの放出量が多くなり,脱フッ素率が下がることを示した。さらにブリケット中のフッ素化合物の含有量が増加するにつれて燃焼時のSO2の放出濃度が増加し,脱硫率が下がり,ブリケットの燃焼過程でフッ素化合物(白雲母)の熱分解が進行すると,Ca(OH)2による脱硫率が下がることがわかった。

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© 2019 一般社団法人 日本エネルギー学会
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