2019 年 98 巻 7 号 p. 149-156
本研究では業務用固体酸化物形燃料電池(SOFC)に着目した。SOFCは発電効率が高く,熱需要の少ない建物にも適合すると考えられている。本研究の目的は,年間コスト最小化を目的関数とした最適化モデルを用いて,各種業務用建物に対するSOFCの導入効果を省エネ性・経済性から分析することである。省エネ性の指標として,一次エネルギー削減率を用いた。結果として,本研究で分析した全ての業務用建物において,SOFCが一次エネルギー削減に有効であること,また,温水需要のある病院,ホテル,飲食店などの建物は,温水需要のない事務所よりも経済効果が高いことが確認された。特に24時間営業の飲食店はSOFCの導入に最も適しており,105万円/kWの機器単価でも経済効果が得られることが示された。さらに再生可能エネルギー発電賦課金の影響について感度分析を行ったところ,電力負荷が大きい業務用途において,SOFCの導入が促進されることが示された。