2019 年 98 巻 9 号 p. 220-228
コージェネレーションシステム(CGS)は地域冷暖房システムに多く導入されており,一般的に経済性評価において故障は考慮されていないが,CGS は通常,電力,熱,冷熱を賄うことからその影響は小さくない。そのため,本研究では,CGSの故障を考慮することによる最適な設備容量への影響を評価することを目的とする。故障の発生は,CGSユニットの数に応じた確率過程である。最適化モデルは,故障によるエネルギー供給損失のペナルティの期待値を含んだシステムコストの最小化を使用した。シミュレーション結果は,故障を考慮した場合に,エネルギー不足で生じるコストが年間運転コストに大きな割合を占めた。一般的にアベイラビリティの高い機器では最適化計画で故障を考慮しないが,本研究で故障に直面した場合のコスト増加を考慮すると最適化計画での年間運用コストバランスが変わり得ることが明らかとなった。この結果はCGSの計画について故障確率を考慮することが有用であることを示している。