本研究の目的は,人々の冷暖房などのエネルギー利用に対する態度や省エネルギー行動が,熱中症やヒートショックの健康への影響についての認識や対策の実施とどのように関連しているかについて検討を行うことであった。本研究では,2018年2月に実施した旧東京電力供給エリア内の住民を対象としたライフスタイルに関する調査に回答した3066名を対象として二次分析を行った。ロジスティック回帰分析の結果,住宅の建築年や健康への態度・行動,冷暖房への態度・行動,省エネ行動が,熱中症やヒートショックの健康への影響の認識や対策実施と関連することが示された。また,熱中症とヒートショックでは,関連の仕方に違いが見られることも示された。一方で,利用できるデータの限界によって,その検討は十分なものではなかった。今後は,項目や方法を洗練させ,より具体的な検討ができるように研究を発展させていくとともに,生活者の行動促進に向けた具体的な施策の立案とその検証が求められる。