日本エネルギー学会誌
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特集:JCRENⅠ(論文)
Comparison of Hydrogen Production Through In-liquid Plasma Methods
Ryoya SHIRAISHI Shinfuku NOMURAHiromichi TOYOTA
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2020 年 99 巻 8 号 p. 104-107

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抄録

液中プラズマを用いた水素製造法の最適条件及び最適方法を見出すために,これまでに報告された研究結果を比較検討した。 液中プラズマは液体中の気泡内に生成されるプラズマであるから,原料の蒸発エンタルピー(EE)が小さい方が有利である。また,標準生成エンタルピーから計算される熱力学的理想効率(IE)の高い原料を選択する必要がある。実際の水素製造効率(HPE)は,水(IE,0.28 Nm3-H2/kWh;EE,44 kJ/mol),メタノール(IE,1.26 Nm3-H2/kWh;EE,38 kJ/mol),n-ドデカン(IE,2.99 Nm3-H2/kWh;EE,62 kJ/mol)の場合でそれぞれ0.02,0.28,0.13 Nm3-H2/kWhである。最高HPEがメタノール分解によって得られたことは,原料のEEが低く,IEが高いことが高効率水素製造に有利であることを示す。HPEが低下する主な原因はプラズマのエネルギーが原料分解に使われず,周囲液体へ拡散してしまうことである。従って,効果的な熱回収法と断熱システムの開発が必須である。

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© 2020 The Japan Institute of Energy
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