燃料協会誌
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合成炭化水素潤滑油の発動機内における物理化学的変化*
昭和26年9月8日潤滑油に関する特別講演会講演
稻葉 彌之助
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1952 年 31 巻 4 号 p. 197-216

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抄録
著者は第二次大戰中に鯨油を原料とする合成潤滑油を1, 000HPの航空発動機 “ハ105特9” の耐久試験に使用し, 約200時間運転後総分解を行い, 潤滑油の関係する部分を精査して, 満足すべき性能を有するものと認めた。潤滑油の消費量はきわめて少なく1g/HP-hr程度であつた。この試験で, 潤滑油を1回装入しただけで約55時間の連続運転を行い, 運転中特定の時期ごとに使用油を採取してその諸恒数を測定し, これを馬力時間 (HP-hr) に対してプロットしてスムースな曲線を得た。また, これらの試料油中の稀釈物を除去したものおよび白土処理によつて老廃物を除去したものゝ諸恒数を測定し, 潤滑油の発動機内における変質の過程並びに稀釈物および老廃物の影響を論じた。老廃物の定量を実施し, この結果に基ついてその諸恒数の時間的変化を推定した。白土による再生油の安定性試験をBritish Air Ministry法によつて行い, 未使用油とほぼ同等の安定性を有することを確かめた。別に得られた廃油を試料として, 未使用油, 廃油, 濾過油, 再生油の安定性を比較検討し, 廃油の安定性を低下せしめている成分について若干の考察を行つた。
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