燃料協会誌
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大量貯炭
田中 和美
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1960 年 39 巻 1 号 p. 20-27

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抄録

景気変動に伴う石炭需給変化の調整を行うことは生産者, 消費者いずれにとつても必要なことで, そのために一般市場において売買される以外の石炭を余剰時には貯蔵封鎖し, 不足時に放出することが考えられる。
この意味で石炭消費地近くに湿分6~15%で粒度25mm以下の粉炭を1ユニット50万t, 2年間貯蔵する場合の貯炭方式につぎ, 地下貯炭, 水中貯炭, 構造物貯炭, 圧縮貯炭を日本動力協会のエネルギー技術対等本部で考えた。これを紹介するとともに, その技術的問題点を拾いあげてみた。
経済的には圧縮貯炭が最も安いが, 操業の場合には石炭シール用窒素ガス製造の副産物の酸素を販売することにより, 地下貯炭, 構造物貯炭もかなり経費安になる。
技術的問題点としては, 地下貯炭はその立地条件に合う所が少い。またポケット内での棚吊が起り易い。水中貯炭は全地下式にすれば地震時異常側圧に対しても安全であり, また石炭の風化, 自然発火の危険もないが, 微粉炭が混入したとぎ脱水に困難がなる。構造物貯炭は棚吊の防止を考慮する必要があり, 地震時側圧の研究が必要である。圧縮貯炭は風化, 自然発火に最も弱く周到な注意が必要である。

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