燃料協会誌
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石炭の酸化崩壊に関する研究 (IV)
再生フミン酸の分子量
横川 親雄渡部 良久梶山 茂武上 善信
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1961 年 40 巻 1 号 p. 38-47

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抄録

従来不確定なものとされているフミソ酸の分子量について再検討するために, まず有機溶媒の氷点降下法について得られる分子量値の意味について考察した。カルボキシル基, 水酸基を持っ芳香族系化合物およびそれらの誘導体をモデル物質とし, これらの化合物による有機溶媒 (P-フェノール, アセトアマイドなど) の氷点降下現象を観察し, ついでフミソ酸およびその誘導体ならびに石炭の溶剤抽出物による氷点降下を測定した。これらの諸実験の結果を総合すると, P-ニトロフェノールの氷点降下より算出されるフミソ酸の分子量 (約300) は, R.'S.Smithらの所説のように, フミン酸が溶媒中で開裂するために得られる過小値であり, 一方アセトアマイド中で得られる分子量 (約500~600) は, この溶媒中で活性な官能基の当量的な性格のものであつていずれも真の分子量とは無関係なものであると判断された。
つぎにフミン酸のカリウム塩による水の氷点降下度を測定し, 別に測定した解離度よりvant Hoff係数を求め, この両者よりフミン酸の分子量を計算した。この方法で得られた数値には, 実験的, 理論的に若干の問題点が残されているが, 大略の値を決定するには差支えない。このような意味で, 再生フミン酸および亜炭フミン酸の真の分子量はいずれも数千のオーダーであり, 前者の方が後者より若干高い値をとることが明らかにされた。

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