今までの実験によつてディーゼル用重油の燃焼性を阻害する要素は必ずしも残留炭素分だけではないことが判明した。そこで燃焼反応を阻害し, また燃焼生成直後の単一カーボン粒子の集合生長を烈しくするであろうと思われるイオウ分について前回と同じような実験を行つて検討してみた。その結果予期したようにイオウ分の多いものは燃焼室内付着の炭素性物質, 特に燃料噴射弁噴口付近の付着物の量が多く, ほぼ比例関係にあることがわかつた。したがつて残留炭素分にイナウ分がプラスされたもの (作用の上で) が炭素性物質形成に比例的関係にあることが判明した。従来イオウ分はとかくエソジンの腐蝕摩耗の面についてのみ重要視されがちであつたが, 燃焼性能の面についても考慮すべきであることがわかつた。