日本エネルギー学会機関誌えねるみくす
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100 周年記念懸賞論文 一般部門
今後の世界情勢変化に対応した日本の基幹金属素材製造業の進むべき方向性
山口 一良埜上 洋植田 滋長坂 徹也
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2023 年 102 巻 2 号 p. 197-204

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抄録

今後の粗鋼生産量の需要は旺盛であるが,スクラップの溶解割合が増加する世界情勢を踏まえて,現状の日本の粗鋼生産量=1億トン/年のまま,高炉メーカーが電気炉を設置し,将来(2050年時点)の高炉法/電炉法の比率を50%/50%としたときのCO2排出量,エネルギー供給量,エネルギー購入費を算出した。 高炉メーカーのエネルギー供給拠点としての役割を維持すべく,エネルギー供給量を維持した場合,CO2排出量は低下し,電炉法比率上昇の効果は顕著であるが,エネルギー購入費は若干増加する。 電炉法において,2050年にC源燃焼をゼロとして電力に振り替える操業を実施しても,CO2排出量,エネルギー購入費低下は十分に可能である。電炉メーカーにおいて,C源燃焼カットは排ガス量の大幅低下をもたらし,エネルギー効率向上が図れるとともに,ダスト発生量が減少し,産廃処理費の大幅節減が図れる。

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© 2023 一般社団法人日本エネルギー学会
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