日本エネルギー学会機関誌えねるみくす
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学会賞(技術部門)
再生可能エネルギーを利用したグリーン水素サプライチェーンの構築
永塚 智三松岡 孝司
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2024 年 103 巻 4 号 p. 400-405

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抄録

再エネは,近年海外の適地で発電コストが大幅に低下し,CO2削減だけでなく,経済性の観点でも普及が加速している。今後も,再エネの普及は拡大することが予想される一方で,エネルギー需給のミスマッチによる余剰電力の発生や再エネ適地と消費地が一致しないことが大きな課題となっている。ENEOSが開発したDirect MCH®(ENEOS登録商標)技術は,再エネ由来の電気を電気化学反応によって,貯蔵,輸送可能な水素キャリア(メチルシクロヘキサン,以降MCH)に直接変換するユニークな技術である。この技術は,再エネから水素ガスを介さずに,MCHの製造ができる画期的な技術であり,MCH製造にかかるコストの大幅低減が可能となる。ENEOSでは,この研究開発をラボレベルからスタートさせ,2023年には豪州クイーンズランド州において250 kW太陽光発電を併設したパイロットプラント建設し,運転評価を行った。また,本技術を用いた世界初の国際間グリーン水素サプライチェーン実証を実施した。この実証では,豪州で獲得したグリーン水素を横浜まで輸送し,燃料電池バスに充填,走行することに成功した。

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