2025 年 104 巻 3 号 p. 160-165
エネルギー需給モデルは,気候変動緩和策の評価や将来のエネルギーシナリオ検討において有用なツールである。しかし,既往のモデルは地域・時間解像度が簡略化されており,近年期待が高まる変動性再生可能エネルギー(VRE)の地域偏在性や時間変動性,および水素キャリアの長距離輸送に係る費用を考慮することが困難であった。そこで本研究では,世界や日本を対象に,地域・時間解像度を飛躍的に高めたモデルを開発した。開発モデルの規模として,変数の数は数千万~億の規模に達する。そして,数値シミュレーションを通して,カーボンニュートラル実現にむけて最適なエネルギー構成やVRE・水素キャリアのコスト競争力等を示した。