サーキットテクノロジ
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多層配線板における熱膨張係数の設計
中山 肇河添 宏塩田 茂男中尾 正博清水 彰
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1993 年 8 巻 3 号 p. 201-208

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抄録

宇宙用電子機器における表面実装信頼性の向上を目的に, 多層配線板における熱膨張係数の設計方法を検討した。その結果, フックの法則より導いた合成熱膨張係数算出式と, 低熱膨張合金インバーを主材料とするコントロールメタルを用いる設計方法を考案した。設計した配線板は, 電源・グランド層4層, 信号層2層, 表面配線層2層, コントロールメタル層2層の10層構造で, 熱膨張係数は9.8×10-6/℃とした。ここで, 反り防止の目的から, コントロールメタルは配線板の両表面近傍に配置する構造を採用した。この配線板を試作し, 熱膨張係数を測定したところ, ±2×10-6/℃の精度で設計値と一致することが確認できた。基材部の熱膨張係数のばらつきは±3~4×10-6/℃あることから, ばらつきの減少は弾性係数の大きいコントロールメタル等, 金属材料の効果と推定した。また, 熱膨張係数の小さいコントロールメタルの位置の影響として, 配線板表面付近の熱膨張係数が, 他の部分に比べて小さくなっていることを確認した。配線板内における熱膨張係数の差は内部ひずみを生み, スルーホールの接続信頼性を低下させることがわかったが, -65℃←→125℃の熱衝撃試験寿命は250サイクルと, 十分使用に耐える信頼性を有していることがわかった。

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© 一般社団法人エレクトロニクス実装学会
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