抄録
工業的に興味のあるCOG (Chip On Glass) 実装形態を想定して, LSIチップ/接着剤/ガラス基板からなる単純化三層積層体を取りあげ, これを空気冷却した場合の冷却過程で生じる反り変形挙動, ならびに冷却後の残留応力を熱粘弾性数値解析と計測実験から求めた。その結果, 積層体の反り変形量を定量化するとともに, 冷却途中での反り変形挙動は構成材料の組み合わせに大きく左右され, 反り変形を抑制するための適正な層構成が存在することがわかった。次いで, 残留反り変形量は熱粘弾性挙動を示す接着剤の厚さに大きく依存し, 残留応力も積層体全体の剛性と構成材料の熱収縮力との力の均衡によって決定されることを明らかにした。これにより, 有機材料系複合基板の熱荷重によって生じる反り変形を抑制するための, 材料・層構成に関する最適設計指針を得ることが可能となった。