造園雑誌
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法面急速緑化工法の基礎的研究I
芝草の発芽生長について
新田 伸三小橋 澄治
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1961 年 24 巻 3 号 p. 47-51

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抄録
1.法面緑化工を施工する立場から芝草の発芽期の生長を特に水分関係を中心として実験した。
2.芝草の発芽勢には4つの型があり本工法にはRyegrass、Weeping Lovegrassなど短期間で発芽を終るものが望ましい。
3.発芽開始後幼植物期にいたるのは小粒種子の方が早いが早期緑化、安全性の立場からは大粒種子の方が望ましい。
4.吸水曲線は芝草の種類、温度、加水量によつて異なる。発芽現象は吸水曲線に現われるほど加水量に対して敏感なえいきようがない。
5.発芽開始後しばらくは土壌含水分が多いほど第1本葉の伸長は早いがその後植物生長最適含水量の水分を持つものの伸長が最もよくなる。
6.播いた種子の乾燥に対する抵抗力は発芽開始後生長が進むにつれて弱くなるが、生長が進むと種子根の生長で土壌吸水範囲が拡がり、種子は乾燥しにくくなるので実際上最も危険なのはPerennial ryegrassでは置床後48時間あたりである。
7.芝草の発芽にはどれだけの水分を要するかより土壌含水率の変動の巾がどのように維持されるかが問題である。
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