近年, 野草の種類が急速に減少している。今日, 山間地水田にも農業の基盤整備が必要とされており, そのため, 山村の豊富に残された野草も危機的な状態となっている。山間地水田土手斜面には豊富な野草が維持されてきた。今回, この土手の野草の実態を明らかにするため, 事例として長野県長谷村南非持の50の土手について5.7.9月の3回にわたり, 植生調査を行った。その結果, 優占種を主に12種類の土手に区分でき, 季節的に変動しつつ存在していることがわかった。さらに構成種の中の特徴的な区分種によって, 6つの型に整理することができた。今後こうした植生の実態をもとに野草の育成維持管理に有用な手法を見出すことができると考える。