1990 年 54 巻 5 号 p. 233-238
本研究では乾燥地域のサンプルとしてパキスタンの10都市を対象として, 住民の緑意識について調査, 分析を行った。年間雨量が500mmを越えない地域で, 都心部, 周辺部のいずれにおいても, 緑に対する欲求は強く, 具体の空間としての公園に対する欲求も強い。緑の機能的有用性や視覚的美しさに対する評価は都市の雨量の多い少いと関連づけて把握することの可能性が認められた。また総体としての緑に対する欲求の度合は乾燥の度合とほぼ比例するという傾向が認められた。社会的価値観文化, 言語等の異なる地域での調査ではあるが, 緑意識の一般的解明への端緒が開かれたといえよう。