本研究では, 芦屋市内を流れる河川空間整備が施された芦屋川と未整備の宮川を対象として, 両河川空間に対する近隣居住者の利用行動と心理反応といった反応行動特性を, 特に『河川空間から住居までの距離』といった距離概念を通じて把握することによって, 河川空間の整備効果を明らかにすることを試みた。その結果, 河川空間整備によって, 河川空間の利用頻度や多目的利用の向上が図られるといった利用価値や河川空間が周辺部に存在することによって居住環境の向上が図られるといった存在価値が高められることを明らかにした。特に, 利用価値の向上は市域全域に及び, 存在価値の向上は250m圏内で顕著であることが明らかとなった。