造園雑誌
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多磨墓地をはじめとする公園墓地の成立・展開と今日的課題
槇村 久子
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1991 年 55 巻 5 号 p. 121-126

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抄録

現在, 墓地として供給されているのは「公園墓地」と呼ばれる様式である。これが日本でどのように成立, 展開したか, その意図したものと, 現在に至っての限界と矛盾点を明らかにする。明治初年に神葬墓地として東京市や大阪市に新墓地が都心遠隔地に形成されるが都市人口集中で都市計画上から必要に迫られ, 井下清により計画された多磨墓地をもって始まる。その後同様式の墓地が全国に造成された。しかし, 形式として欧米自然風景式, 習俗として日本の埋葬, 家族制度を理念としたために, 限界にある。問題はハード面での公園様式と近代化の中で変化していった習俗, 家族の構造変化に対応せず重ね合わせた中にミスマッチを起していることがわかる。

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