本研究では, わが国の近代都市公園のプロトタイプである日比谷公園を対象として, 一連の設計案の平面形態ならびに開園後今日に至るまでの変容をトレースすることによって, その空間構成の特質を明らかにする。日比谷公園の計画にあたって提案された設計案を詳細に検討することによって, 敷地に想定される空間の単位性を確認し, その単位性の確立と施設の置き換えが公園プランのヴァリエーションをもたらしたことを指摘した。また, 本多静六による実施案では, 空間の単位性ゆえにその後の変容の過程において施設の置き換えが実際に行なわれ, 結果として施設空間のパッチワークとして認識される平面構成が形成されたことを明らかにした。