ランドスケープ研究
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『作庭記』「嶋のさきを寝殿のなかバにあてて」の解釈と浄瑠璃寺庭園の空間構成について
多々良 美春
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1997 年 61 巻 5 号 p. 369-372

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抄録

『作庭記』に記される「嶋のさきを寝殿のなかバにあてて」の解釈については, 従来の研究でも特に問題視はされていない。しかし左右均斉を破る日本趣味的な手法の一つであると理解されたり, 浄瑠璃寺庭園の空間構成を評価する際の指標として引用されるなど, 平安・鎌倉時代の庭園を理解する上では注目に値する内容を持っている。一般に「嶋のさき」は「中島の先」「中島の先端」と解釈されてきたが, 寝殿と橋の位置関係に矛盾が認められ, 前後の文脈からは「中島の前方」という意味が一致する。本研究では, さらに浄瑠璃寺を含む平安・鎌倉時代の庭園の中島の位置を検証し, この部分の解釈を「中島の前方」とすることの妥当性を考察した。

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