ランドスケープ研究
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奈良時代までの庭園植栽
飛田 範夫
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1998 年 62 巻 1 号 p. 56-67

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抄録

庭園植栽は日本に庭園が誕生する以前の, 人間と植物との長い歴史が存在していたから可能になったといえる。旧石器時代から樹木の幹・枝は薪, 果実は食料となり, 縄文時代には樹木の管理栽培が開始され, 弥生時代には稲作・畑作や果樹栽培がなされている。古墳時代には薬草栽培・植林も行われていたであろう。こうした植物に対しての長い間の知識が, 庭園植栽に応用されたわけである。飛鳥・奈良時代の海洋風景式庭園にはマツが多く植えられ, シダレヤナギ・ウメ・モモなどが愛好されている背景には。中国文化の影響がある。また, 中国本草学の影響を受けて薬草栽培が盛んに行われ, 薬用植物が次第に庭園に利用されるようになったことも見逃せない

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© 社団法人 日本造園学会
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