2008 年 22 巻 2 号 p. 109-114
腸内フローラの定着は宿主の腸粘膜免疫機能の発達分化に重要な役割を担っており,無菌マウスを通常化することで,腸管免疫系が局所で速やかに応答し正常化されることが明らかになっている.ノトバイオートマウスを用いた腸内フローラの再構成実験により,宿主動物由来の限定された種類の腸内細菌で,IgA産生,腸上皮間リンパ球などの腸粘膜の免疫学的形質の発達を誘導することが示された.この成績を基にして,炎症性腸疾患モデルマウスの腸炎の発症・進展に対する腸内細菌の役割の解析,および腸粘膜形質の正常化されたヒトフローラ化マウスの作出を行った.