ビフィズス
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腸内常在嫌気性菌の同定におけるVITEKシステムの応用
横田 悦男石古 博昭辨野 義己光岡 知足
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1990 年 3 巻 2 号 p. 153-161

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抄録
VITEKシステム (Anaerobes Identification Card, 以下ANI Card) によって腸内常在嫌気性菌の菌種同定を行うために, 増菌培地, 接種菌量および同定の再現性の検討を行ったところ, 増菌培地として Brucella HK寒天平板が優れており, 接種菌液量としてMcFarland No.4以上の濃度を必要とした.この 結果より腸内常在嫌気性菌112菌株 (8菌属21菌種) の菌種同定すると, ANI Cardにより39菌株 (34.8%) が同定されたが, 34菌株 (30.4) は未同定であった.さらにANI Card中に性状パターンが見いだされない 菌株が39菌株もあった.菌種別に見ると, Bacteroides fragilis groupに属する菌株が高い同定率 (89.2%) を示したが, Eubacterium aerofaciens, Lactobacillus gasseri, L.reuteri, Clostridium innocuumおよびC. clostridiiformeはすべての菌株はANI Cardの性状パターンと必ずしも一致しなかった.さらに, Bifidobacterium および嫌気性グラム陽性球菌はANI Cardに収録されていないため, 同定しえなかった.以上の 成績よりヒトの腸内最優勢菌であるB.fragilis groupの菌種同定にVITEKシステムは優れた装置であるこ とが明らかにされたが, Eubacterium, LactobacillusおよびClostridiumの同定における確実性は認められな かった.
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© 財団法人 日本ビフィズス菌センター
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