ビフィズス
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Print ISSN : 0914-2509
ビフィズス菌およびラクチュロースの卵巣摘出骨粗鬆症モデルラットの大腿骨に対する骨強度増強効果
五十嵐 稔飯山 百合子加藤 良冨田 守麻見 直美江澤 郁子
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1994 年 7 巻 2 号 p. 139-147

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抄録
本研究では, 卵巣を摘出し低カルシウム食で飼育し作成した骨粗鬆症モデルラットを用いビフィズス菌 (Bifidobacterium longum) およびラクチュロースがカルシウムの吸収にどのような影響を与えるか検討した.SD系雌ラット29匹を卵巣摘出後カルシウム0.01%, リン0.3%を含む低カルシウム食で31日間飼育した.この骨粗鬆症モデルラットをカルシウム0.3% (乳清カルシウム), リン0.3%を含む基本食と飲水の代りに1%脱脂粉乳溶液を投与した (1) 群, 基本食とビフィズス菌末懸濁液 (1%脱脂粉乳溶液にビフィズス菌末を懸濁させたもの) を投与した (2) 群およびラクチュロース3.0%を添加した基本食とビフィズス菌末懸濁液を投与した (3) 群に分けそれぞれの試験食でさらに31日間飼育した.その結果, 糞便中のビフィズス菌数はラクチュロースを添加した (3) 群が有意に増加した.また盲腸内容物のpHは糞便中のビフィズス菌数の増加とともに低下し, 特に酢酸濃度は (3) 群が著しく高かった.また大腿骨破断特性である破断エネルギー, 破断応力は (1) 群に比べ (2) (3) 群とも高くビフィズス菌, ラクチュロースを摂取した (3) 群が (1) 群に対して有意に高かった.一方Microdensitometry法により求めた大腿骨の骨密度関連パラメーターのうちΣGS, GSmaxは有意な差はなかったが,(1) 群に比べ (2) (3) 群とも高い傾向がみられた.ΣGS/Dは (1) 群に対して (2) (3) 群が有意な差をもって高く, GSminについては (1) 群に対して (2) 群が有意に高かった.これらのことからビフィズス菌, ラクチュロースの摂取は腸内環境を改善することなどによりカルシウムの吸収を促進し大腿骨の破断特性である破断エネルギー, 破断応力の増強および骨密度の増加をもたらすものと考えられる.
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© 財団法人 日本ビフィズス菌センター
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