2016 年 39 巻 4 号 p. 401b
【症例1】73歳男性.2012年5月に間質性肺炎,2013年12月に関節リウマチと診断.プレドニゾロン(PSL)10mgとタクロリムス2mgを内服するも呼吸困難が増悪し,ステロイドパルス療法後PSL 40mgから漸減.糖尿病を発症しシタグリプチン50mg内服.PSL 29mg内服時に両側足背の浮腫が出現し,シタグリプチンによるRS3PE症候群の可能性を考え同薬剤中止,浮腫は数日で改善.【症例2】79歳女性.2007年に糖尿病を発症,シタグリプチン50mgからリナグリプチン12.5mgに変更し内服.2015年11月に両肩関節痛および両側手背浮腫が出現.リナグリプチンを中止しPSL 15mg内服にて,関節痛および浮腫は改善.【症例3】81歳女性.2015年11月に両肩関節痛および両上腕部筋痛が出現.2016年1月に糖尿病と診断されシタグリプチン12.5mg内服開始.2月にリウマチ性多発筋痛症と診断,PSL 15mg内服にて関節痛や筋痛は改善.PSL 10mg減量後に両側足背浮腫が出現し,PSL 15mgに増量およびシタグリプチン中止にて浮腫は改善.【考察】DPP4阻害薬は糖尿病治療薬であるが,内服中にRS3PE症候群を発症した報告が相次いでいる.しかしリナグリプチン内服中の報告は今までない.DPP4はT細胞活性化抗原のCD26分子と同じことが知られており,同症候群の病態には同分子が関与している可能性が示唆される.【結論】DPP4阻害薬内服中にRS3PE症候群様の圧痕性浮腫を認めた場合は,内服中止を検討することが望ましい.