日本経営工学会論文誌
Online ISSN : 2187-9079
Print ISSN : 1342-2618
ISSN-L : 1342-2618
非同期コミュニケーションにおける参照情報提示機能の効果に関する研究
西岡 久充宇佐美 智之宇井 徹雄
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 53 巻 6 号 p. 429-436

詳細
抄録

電子会議システムにおいて非同期コミュニケーションを行う場合, 全く返事が返ってこないとか, 本当に他のメンバーが参加しているかどうかわからないといった問題がある.これらの問題は, メンバーが積極的に参加するための動機付けを低下させる可能性がある.そこで本研究では, 参加の動機付けに着目し, 他のメンバーの行動を把握するための機能として, ある文書がメンバーによって何回閲覧されたかという参照回数を提示する機能(参照情報提示機能)を電子会議システムに付加する.この機能によって, メンバーの参加の動機付けと注目点の集中という2つの効果が考えられる.その効果を検証するために, 研究室実験が行われ, メンバーの意識や会話プロセスの変化が測定された.結果は, 参照情報提示機能が動機付けに影響を与えるとはいえないこと, 議論の初期段階では, メンバーに参照回数の多いところを話題の中心として捉えさせ, 議論の広がりを抑えるが, 中後期段階になると議論の中心がわかることによって集中的に議論するという効果を発揮することを示唆する.

著者関連情報
© 2003 公益社団法人 日本経営工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top