日本経営工学会論文誌
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脳性麻痺者のGUI画面でのマウスポインタ操作特性に関する一考察 : D/C比が移動および位置決めの時間値に与える影響について
西口 宏美
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2009 年 60 巻 2 号 p. 95-103

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抄録
脳性麻痺者においては,福祉工場などでGUI仕様のPCを用い,データ入力や文書作成・編集作業を業務として就労している事例が多くみられる。脳性麻痺者の上肢作業特性を考慮したGUI環境を提供することで,彼らの業務能力を一層向上させることができる。例えば,画面上におけるポインタの移動量に対する机上のポインティングデバイスの移動量の比であるD/C比を調整することにより,GUI画面上でのポインタ操作作業に要する時間値を最小化することが可能である。本研究においては,まずGUI画面上でのポインタの移動軌跡と速度波形をもとに「移動動作相」と「位置決め動作相」に分離し,各動作時間値を算出した。さらに,MTを最小にするD/C比が存在する要因について検討することを目的として,D/C比が各動作時間値に与える影響について検討した.その結果,D/Cの変化に対して移動動作時間値は線形的に変化することが,位置決め時間値はターゲットサイズやターゲット間距離により,2次曲線的あるいは線形的に変化することがわかった。
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© 2009 公益社団法人 日本経営工学会
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