2014 年 65 巻 2 号 p. 70-77
本研究では, 触覚検査作業における手関節負担に着目し, 手関節負担の軽減方法を検討することを目的とした. 被験者は筋骨格系障害および触覚器の罹患歴および愁訴がない男子学生10名, 実験条件は手の角度(手の長手方向と正中線のなす角度)について0度, 45度, 90度の3条件とした. 評価項目は, 表面筋電図による筋負担および主観評価の2項目とした. 実験の結果, 手の角度を大きくすることで, 手関節負担を軽減できることが明らかになった. 一方で, 手関節の筋負担は肩関節および肘関節の筋負担と手の角度についてトレードオフ関係にあった. そのため, 上肢の筋負担を総合的に評価する必要があると考え, 計測した筋電図の単純和, 二乗和および尺側手根伸筋のみによる評価の3方法で上肢の総合負担を評価した. この結果, 検査対象面の右側では手の角度を小さくし, 左側では手の角度を大きくすることで上肢負担を軽減できることが明らかになった.