2017 年 67 巻 4 号 p. 285-294
本研究では,東日本大震災で大きな被害をうけたとされる日本の自動車業界を対象にしたサプライ・チェーンリスク・マネジメント(Supply Chain Risk Management; SCRM)の実証分析をし,日本の自動車業界におけるSCRMの現状と課題の調査を行う. 分析は,47社のアンケート調査を基に行った.アンケート調査によって得られたデータを基に仮説検定,共分散構造分析,因子分析を行った結果,日本の自動車業界では,サプライ・チェーンの脆弱性やサプライ・チェーン・リスクの影響を認識しているが,発生確率に関しては捉え方が異なり,対策が不十分である現状を明らかにした.さらに,サプライ・チェーンへ影響を及ぼすサプライ・チェーン・リスクの関係を今後明確にする必要があるという課題を示した.