日本経営工学会論文誌
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原著論文(理論・技術)
Web閲覧履歴に基づくターゲティングのための属性ラベル学習法
青木 章悟三川 健太後藤 正幸
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2022 年 73 巻 1 号 p. 1-14

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抄録

多様な製品が溢れる現在においては,自社の製品がターゲットとすべき消費者セグメントを明確にすることが重要である.全消費者のうちからターゲットとする消費者セグメントを特定するために,例えば「30代の男性会社員」などのようにターゲット属性を用いて特定することは常套手段の一つである.しかし,全消費者の消費者属性と趣味嗜好を含むデータがあれば分析的な観点からターゲット属性を特定できるが,そのようなデータを各企業が独自に収集することは膨大なコストがかかり現実的ではない.そのため,多種多様なサンプル消費者のWeb閲覧履歴や購買履歴を保有するコンサルティング企業に依頼する形で,サンプル消費者のデータ分析を通じてターゲットを特定することが一般的に行われている.特に,サンプル消費者のWeb閲覧履歴などの行動履歴データをクラスタリングし,ターゲットとして相応しいクラスタを特徴付ける属性(クラスタ属性)を発見する方法はよく用いられるアプローチの一つである.しかし,クラスタ属性はしばしばクラスタに所属するサンプル消費者の属性統計量などから分析者の判断によって付与されることが多い.その上,一つのクラスタに複数のクラスタ属性を想定しシナリオ別の施策が検討されるようなこともある.このような定性的な分析や判断が入る場合,クラスタ属性の選定は分析者の経験やスキルに強く依存してしまう.そのため,消費者嗜好が反映された過去のサンプル行動データのクラスタリング結果から,客観的な評価基準に基づいてクラスタ属性を特定可能な数理モデルがあれば,分析者の作業や施策検討を強力に支援できると考えられる.そこで本研究では,多様な趣味嗜好を含むWeb閲覧履歴からサンプル消費者をクラスタリングし,各クラスタに対して,ターゲットとして有効なクラスタ属性を付与するためのモデルを定式化する.さらに,与えられた目的関数に対して分析者の恣意的な部分を可能な限り取り除いた形でターゲット属性を探索する手法を提案する.最後に,実データを用いて提案手法の有効性を示す.

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© 2022 公益社団法人 日本経営工学会
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