抄録
ポアソン分布の母平均に関する検定(H_0 : λ=λ_0)を正規分布近似検定で行なう場合, その統計量に用いられる連続修正(Yatesの補正)は片側検定に関するかぎり必ずしも適切でないように思われる.これはポアソン分布が非対称な分布であることに由来する.本報ではポアソン分布と正規分布の間で3次モーメントまで一致させることにより, 正規分布近似検定を採用したときの第一種の過誤率a'と設定過誤率aの関係がa'≦aをちょうど満足する補正量を提案した.この補正量を用いることにより, 直接確率計算と正規分布近似検定はほぼ同一検定結果を得ることができ, 従来の正規分布近似検定への適用条件λ_0≧5も不必要となる.