1983 年 34 巻 4 号 p. 264-270
コンピュータなどを利用した経営科学技法(情報システム, ORモデル, 統計処理パッケージ)はその技術的な面において急速な発展をしているが, 技法を経営管理者が利用し経営の改善に成功しているかどうかという点では十分とはいいがたい.とくに日本の企業ではすでに開発された情報システム・経営モデルのうち多くのものは利用されないままである.よって本論文では日本の経営において経営科学技法がなぜ有効に利用されないのかを行動科学の諸視点(文化, 組織, 管理システム, 意思決定)から分析し, これらの技法の実施による日本的経営の改善には, 実施を職能とする仲介者(あるいは仲介部門)を組織にもつことの必要性を示した.さらにこの仲介者は経営の意思決定状況に応じて問題分析, 調整, コントロール, コミュニケーションの方法をどのようにしたらよいかを論じた.