本研究では, 階層型ニューラルネットを用いた多群識別手法として, クラス間における境界領域の存在を考慮した近似識別手法を提案する.境界領域は複数のクラスに属する可能性のある領域であり, 境界領域内では未知サンプルの識別は保留される.本研究では, まず, 多群識別問題に対し, 可能性理論に基づく近似識別の概念を導入する.次に, 階層型ニューラルネットの学習アルゴリズムであるバックプロパゲーション・アルゴリズムに修正を加え, 可能性分析を行う方法を示す.さらに, 修正されたアルゴリズムにより学習されたニューラルネットからの出力値を用いて, 近似識別のための決定領域および境界領域を導出する方法を示す.最後に, 代表的な多群識別問題であるアヤメの識別問題に提案手法を適用し, 学習用データに対する学習能力および評価用データに対する汎化能力について検討する.