日本舶用機関学会誌
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往復機関の動力学
宮入 武夫
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1975 年 10 巻 6 号 p. 444-456

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抄録

機械構造の初期計画に当っては, それら機械を組立てている各機素に働く静的, 動的な諸力を見いだすことが必要である.そのために, 静力学, 運動学, および動力学の理論を包含した, いわゆる動力学の解析法がある.従来をの代表的な機関類の解析法はその必要性とあいまって研究ならびに解析理論は既に体系づけられている.すなわち, 代数解法, 図式解法の両面から進められている.特に両者共解析には繰返し演算操作を必要とするために, その算定法の高能率化を計った簡便な諸解法があげられているが, いずれも手計算にもとずく解法であるため, たとえば, 部材の運動学的相当系の置換による近似法や図式解におけるスケールの選択ならびにその精度, さらに所要時間および労力の増大は演算実施上さけ難い多くの問題と困難が存在している, しかのみならず, 最近における機械類の大形化, 高速化の傾向はますます高まりつつあるがために動力学解析法は設計上重要な項目として注目されるに至った.たまたま, 急速な伸展を遂げつつある電算機の驚異的な発達と普及によってかかる問題は一挙に解決された感があるが, 著者は寡聞にしてその報告を知らない.そこで本論文は既に発表した“リンク機構の解析法”に基づいて表題の機関に関しての力学的諸量の解析式を誘導し, もって動的, 静的の諸力による機関各部に誘起する諸応力および動的な諸特性を電算機により算出した.

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