日本舶用機関学会誌
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高出力用プロペラ材料について
中野 市次
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1975 年 10 巻 6 号 p. 457-466

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抄録

最近, 相次いで超大形タンカー, 大形高速コンテナ船などが就航しているが, このような高出力船用プロペラに関して, 材料面から検討を要する最も緊急, かつ重要な課題として次のことがあげられる.
(1) プロペラ重量を軽減し, かつ, 翼の疲労破損を防止するため, 合理的な翼厚強度計算値を設定する必要がある.その際, 基礎となる現有プロペラ材料の実体腐食疲労強度を明らかにすること.
(2) キャビテーション・エロージョンによる翼面の損傷を設計面のみで完全に防止することが困難であるため, 材料面で耐潰食性を改善すること.
上述の課題に対して, 次のような研究開発を実施した.
(1) 肉厚の異なる厚肉鋳物及び実船用プロペラについて腐食疲労試験を系統的に実施し, 鋳物の肉厚と腐食疲労強度との関係をより正確に求めた.
(2) キャビテーション・エロージョン対策として, プロペラ新造時にエロージョンの発生が予想される翼面にあらかじめ, 耐潰食性に優れた材料で肉盛りする方法を開発し, 実船に適用して好結果を得た.

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