日本舶用機関学会誌
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回転円板式油回収機の研究
上田 浩一徳田 仁一色 尚次
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1975 年 10 巻 9 号 p. 748-753

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抄録

最近ひんぱんに海上において油の流出事故が起きている.流出油の回収装置もいろいろの方式のものが開発されている.ポンプで表層油を吸引するために, フロートに油水吸引口を取り付けたものや, うずにより油を集めて吸引する方式や傾斜板と垂直平板列により油層を厚くする方式などが考えられている.しかし, これらの方式による回収機によって回収した油には含水量が多い.
これらと別の方式として平板に表層油を付着させて, 流出油を回収する方式がある.この方式によると回収油中の含水量が少なく, 油層が比較的薄い時にも使用できる.筆者らは油付着媒体として円板を用いる場合の回転円板上に付着する油膜の厚さ, 流出油を回収する時の最適回転数およびその時の回収量について解析をこころみた.平板に付着している液膜の厚さは平板の速度, 液体の粘度と密度, 重力の加速度によるものとした.最初に液体が一層の場合, 次に二層の場合 (水面上に油が浮上している状態) について検討し.理論的に最適回転数, 回収量を求めた.実験値とかなりよく合致している.本方式による回収は表層油の流れなどを考慮すると10-1ストークス付近の油に適していると思われる.

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