日本舶用機関学会誌
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蒸気ドラム内水面の盛り上りについて
友田 勇老固 潔一
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1967 年 2 巻 5 号 p. S63-S71

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抄録

蒸気ドラム内ではドラム軸方向の水の流動および汽泡の混入などのために, ドラム中央部の実水面はドラム端に取付けられた水面計の指示点よりも場合によりはるかに高くなっていることがあり, ドラムにおける汽水分離性能を検討するにあたっては, このような水面の盛り上りを定量的に把握しておくことが必要となる.本研究は空気と水の混相流により, 実缶の1/2模型で実験を行ない, 水面盛り上りに対する気体量 (蒸発量または水面負荷) および水量 (循環量) の関係を定量的に明らかにするとともにドラム内部装置の影響を検討した.その結果, 実水面の盛り上りはドラム軸方向の流れによるものと, ドラム水内にボイドを含むことによるものの二つに分けてそれぞれ整理し, 近似的に両者の和として求めうることを示した.そのうち軸方向の水の流れによる盛り上りは, 循環水が仕切板の堰作用によって盛り上るものが最も大きく, これに対しては潜り堰の式が適用できる.一方ドラム水内ボイドは空気の上向き体積流速 (すなわち水面負荷) により主に支配され, 水流量も若干関係するが水面多孔板の影響はあまり大きくない.
つぎに岐美らによる管内汽泡流の半理論式に筆者らのドラム水内ボイドの実験結果を適用し, ドラム水内ボイドに対する圧力の影響を調べた結果, 水面負荷が同じ場合にはボイドは圧力が高くなるほど大きくなり100atg以上ではその傾向は非常に顕著になる.
さらに舶用補助ボイラで, 運転中のドラム内実水面をサンプリング法により実測した結果, 約360m3/m2hの水面負荷でドラム中央部の水面の盛り上りは200mm以上にもなることが確められた.この実測結果を本研究による計算値と比較するとかなりよく一致しており, 本計算方法が実用的に十分適用できることが確められた.

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