日本舶用機関学会誌
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川崎―M・A・N KZ機関の静圧過給方式における一つの実験研究
橋本 博小林 寿雄
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1968 年 3 巻 6 号 p. 391-398

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抄録

舶用2サイクル機関に排気タービン過給が採用されるようになってから約15年になるが, 近年の機関のめざましい大形化滴出力化の要求に対処して排気タービン過給機の性能の向上, 機関とのマッチングの改善が行なわれた結果, 最近では過給率100%を超える高過給機関が出現するよう1こなってきた.
排気タービン過給の欄の段階ではほとんど動圧過給が採用されていたが激年前から静圧過給が採用される割合が多くなってきている.M・A・N KZ機関では比較的過給の初期のころから静圧過給方式をとり入れてきた.この両方式の利害得失については種々論議されているが, 機関の大形化, 高出力化につれ静圧過給方式が多く採用されるようになっているのは事実であり, この傾向は今後ますます強くなるものと思われる.
これは高過給における静圧過給方式の優位を示すものである.しかし, 静圧過給方式の一つの欠点として低負荷では排気タービンを駆動する排気エネルギが少ないため, 過給機ブロアがサージングしやすいという問題がある.とくにKZ機関のように, シリンダ下部を補助の掃気ポンプとして使用し, しかも過給機プロアと並列に作動させる場合には, ブロアのサージングを避けるためのなんらかの手段が必要である.この問題を解決するため, これまで数種の方式が提案され, 実用化されてきた.本稿では瀞圧過給方式の場合の低負荷における過給機ブロアの性能の改善をねらいとしたこれら各方式について糊した後, 最近川崎M.A.N.KZ機関に全面的に採用されている静圧―並列―インジェクタ方式に関し行なわれた実験研究とその解析につき論ずることとする.

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