直流を電源とする制御装置としては, 従来から電動発電機や抵抗器あるいはインバーター整流器方式が使用されていたが, サイリスタ・チョッパが開発されて, その性能が電動機の速度制御装置などに注目されている.
サイリスタ・チョッパは直流を高速度で断続して, オン・オフの時間比を変化させて負荷電力を制御するものであるが, その回路方式は用途によって数多く発表されている.しかし, 補助サイリスタ転流形チョッパ回路は, 点弧回路がやや複雑になるが, 大容量機の設計が容易であり, また制御特性もすぐれているので一般の負荷に適している.本論文は, この補助サイリスタ転流形チョッパ回路の動作解析とその結果から導かれる二, 三の特性について述べたものである.
補助サイリスタ転流形チョッパ回路の動作の一周期は, 回路内の素子の状況によって六つに分けることができるが, 解析はこのおのおのについて行なっている.その結果, この回路の出力電圧は, (1) 点弧回路で直接制御される部分, (2) 回路素子による内部降下分, (3) 転流補助回路の影響分の三つに分けられることが示される.そして, 最後の部分が負荷電流にほぼ逆比例して変化するため, 出力特性はわずかに下降特性になる.また, これらの解析結果を確かめるため, 実験回路で計算値と実測値を比較する.
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