日本舶用機関学会誌
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中高速ディーゼルエンジンの黒煙およびカーボン付着障害の添加剤による抑制
内海 博山内 雅夫
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1969 年 4 巻 10 号 p. 580-587

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抄録

中高速ディーゼルエンジンは燃料として一般に軽油あるいはA重油を使用しているが, しばしば黒煙の発生や燃料弁のカーボン付着などが起こり, 大気汚染やエンジンの保全上大きな障害となっている.
バリウムを含む添加剤を軽油やA重油などの軽質燃料油に少量添加すると, これらの障害を抑制し得ることがいままで二, 三報告されている.
試験炉および実験用ディーゼル機関で各種の金属化合物を軽油に添加し, 黒煙の抑制効果を検討したところ, バリウム化合物が効果を示し, バリウム化合物の構造による差がほとんど認められず.バリウム添加量に比例的であることがわかった.そこで高含量バリウム化合物を試作し試験炉について灯油, 軽油, A重油およびB重油に対する効果を検討したところ, 残留炭素の多いB重油に対する効果は軽質燃料油に対する効果より劣ることを認めた.さらに, 渦流室式, 予燃焼室式および直接噴射式の形式の異なるディーゼル機関について検討したところ, ディーゼル機関の形式や運転条件にかかわらず黒煙抑制効果のあることが判明した.また, 船舶のA重油使用発電機用ディーゼル機関について高含量バリウム化合物を主成分とする添加剤を添加し検討したところ黒煙が減少し, 燃料弁のカーボンフラワおよびシリンダの汚れが著しく減り, シリンダ内最高圧力や排気温度の変動も少なくなって長時間の連続運転が可能であることが判明した.

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