日本舶用機関学会誌
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ディーゼルエンジン・シリンダライナのキャビテーション・エロージョンについて (第2報)
池ノ内 昌弘遠藤 裕久
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1972 年 7 巻 6 号 p. 485-495

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抄録
ディーゼル機関シリンダライナの冷却水側に発生する孔食はピストンの衝撃によるシリンダライナの振動を起因とするキャビテーション・エロージョンと考えられるが, 実際にシリンダライナの振動を実測することによって考察したものは少ない.本報では, 内径が350mm2サイクル舶用ディーゼル機関のシリンダライナの変位振動およびピストンの運動などを実測して, ライナが圧縮, 爆発行程でピストンの衝撃によって0.1mm以上の衝撃的な変位変動を行ない, この変位変動による冷却水の圧力変動によってキャビテーションが発生することを示し, キャビテイの直接観察からもこれを確認した.さらに, これらシリンダライナのキャビテーション・エロージョンに関与する種々の因子について磁歪振動試験法を用いて検討を加え, 供試機関ではライナの動的変位を0.04mm以下に抑制すればキャビテーション・エロージョンの発生を防止できること, 冷却水の温度が35℃の場合に最もキャビテーション・エロージョンが激しいこと, および冷却水へ乳化油などをわずか添加して表面張力を低下させれば, キャビテーション・エロージョンを大幅に抑制できることを示した.
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