抄録
本研究の目的は,一次性夜尿症の治療において,1日に4回という限定された回数で行われるRetetion Control Traiaingが,どのような効果を示すかについて検討することである。(1)満6歳以上である,(2)器質的異常はない,(3)1次性夜尿である,(4)知的な遅れはないなどの条件を満たす4名の児童が今回の訓練対象とされた。そして,2名はベースライン測定後すぐに訓練へ導入されるT群,他の2名は,ベースライン測定後4週間の統制期間を経て訓練を開始するWL群へと振り分けられた。また,対照群(C群)として一次性夜尿ではあるが,知的な遅れの見られる2名の児童に,2週間のベースライン測定期間後,標準型のRetetion Control Traiaingが実施された。治療の結果,T,WL両群においては,いずれの児童も症状が消失し,約3年のフォロ・アップでも再発は見られなかった。一方C群においては,症状の改善はみられたものの,完治には至らなかった。結果より,Retetion Control Traiaingは上記の4条件を満たす児童に対しては,少ない訓練回数でも有効に作用すること,知的に遅れのみられる児童に対しては,本技法単独では十分な効果があがらない揚合もあることが示唆された。