抄録
ジャーナル軸受における負荷容量などの諸特性は, 油膜圧力に関するレイノルズの方程式を解いて得られる.この特性を維持するため外部から潤滑剤を供給しなければならない.この給油量の最低限は, 油膜圧力分布によって軸受から軸方向に流出する油量に等しいとして計算される.給油量が最低油量より少ない場合, 潤滑油膜の発生開始位置が給油口より軸回転方向に後退し, 流出油量と給油量が等しくなり, かつ, 軸受負荷とつり合う油膜圧力分布のもとに平衡すると考えられる.この条件で油膜発生位置をパラメータとして, 油膜圧力方程式を解き, 流出量とゾンマーフェルト数の関係において, 軸心位置, 最大油膜圧力, 摩擦係数などの軸受特性を図表にて表わした.これから軸受負荷に対して180°軸受に対する特性・最低必要給油量と給油量減少時における軸受諸特性を求めた.
さらに, 潤滑剤の粘性係数の温度による変化を考慮して, 軸受中心線上の円周方向油膜温度分布を, 油膜圧力分布から求められる式を導いた.
工業上, 実用される軸受の諸元を満足する試験機を用いて, 180°軸受および給油量減少時における軸受の挙動を実験的に求めたが, 上記計算結果とよく一致することが確かめられた.
この結果, 給油量の減少はその程度が極端でない限り, 摩擦損失, 最大油膜圧力にはほとんど影響のないことがわかった.