抄録
本研究は,日本でのテレビの変化期,すなわち 1980 年代におけるテレビ視聴時間量の一時的な減少に伴う番組態様の変化期での,女性向け実用教養番組『婦人百科』について,形態素解析によって副題を分析し,その品詞分布の変化と番組内容の変化との関係およびその意義を考察することを目的とする.1980 年度から 1989 年度まで 10 年間の『番組確定表』を元に,同期間に放送された『婦人百科』1853 本の副題に対して形態素解析をおこない,当該期における変化を調査した.その結果,『婦人百科』の副題は,1980 年代中頃を境として,名詞が用いられる比率が減少しているのに対し,動詞が用いられる比率が増加していることが明らかになった.このことは,テレビの変化期において,番組の形式には表立った変化がなかった女性向け実用教養番組『婦人百科』においても,番組内容には「教養」重視から「実技」重視へという変化が生じていたことに呼応すると考えられ,1980 年代半ばにおけるテレビメディアの変化の一端を数量的に可視化するものである.