超高齢社会を背景に,公共図書館において高齢者に関する情報(高齢者関連情報)の提供が進められている.本研究では,高齢者関連情報を得るためのチャンネルが多数用意されている中で,公共図書館において高齢者関連情報を得る意味,意義はどのようなものであるか,また,公共図書館において利用されている高齢者関連情報とは,どのようなものであるかとの問いを立て,質問紙(オンライン)調査と貸出状況調査を行なった.その結果,公共図書館において入手されている高齢者関連情報とは,加齢に伴う健康状態や人生観の変化に関連する情報であり,高齢者自らや家族,周囲の人々が高齢化しつつある 50 代以降の利用が多いことが明らかになった.
本研究では,超高齢社会を背景に,市区町村による高齢者に関する健康・医療情報の提供状況を踏まえ,財政や高齢化が高齢者に関する健康・医療情報の提供に与える影響を明らかにすることを目的とした.関東地方の全316市区町村による高齢者に関する健康・医療情報の提供状況を調査し,財政指数および高齢化率と併せて分析を行った. 市区町村が提供する高齢者に関する健康・医療情報を,認知症および介護,高齢者福祉サービスという主題別に集計したところ,認知症に関する情報が最も多いことがわかった.また,市区町村の財政力が高いほど,高齢化率が高いほど,高齢者に関する健康・医療情報が増えることが明らかになった.一方で,財政力指数が高い市区町村の中でも,高齢者福祉サービスを一覧する情報の提供にとどまる市区町村から,複数の主題を取り扱い,積極的に提供する市区町村まで存在し,情報提供の様態が多様であることがわかった.
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